100V TIG溶接機の疑問
TIG溶接は仕上がりがキレイだとよく聞くから興味がある。
そもそもTIG溶接とは?
ノンガスTIG?ガスなくても出来る?
TIG溶接を始めたいけど、家には100Vのコンセントしかないけど使えるの?
などの悩みはお持ちではないですか?
TIG溶接機には、100V専用、100V/200V兼用、200V専用があります。
100VでもTIG溶接は可能です。
しかし、機種選びを間違え200V機と同じ感覚で使うと溶けない・ブレーカーが落ちた結果100vでTIG溶接は出来ない!失敗した!となります。
この記事では、
家庭用100VでTIG溶接を成功させる為のポイントを5つのステップでお伝えします。
TIG溶接を成功させる為の5つのステップ
ステップ1 TIG溶接とは?
TIG溶接とは、タングステン電極とアルゴンガスを使って金属を溶かし、きれいなビード(溶接跡)を作る溶接方法です。
TIGの特徴は3つです。
- 火花が少なく作業が安定
- ステンレスや薄板に強い
- 仕上がりが非常にキレイ
そのため、見た目を重視する
バイクのマフラー、ステンレス部品、DIY家具などを溶接する時に人気になります。
ステップ2 100V TIG溶接機とは?
100V TIG溶接機とは、家庭用のコンセントの100VでTIG溶接出来る商品を指します。
一般家庭のコンセントは最大1500W程度です。
そのため100V TIG溶接機は、電力を抑えながら溶接できるよう設計されています。
200V TIG溶接機は、工場やガレージなどで使われる本格機です。
大きな違いは溶かせる金属の厚みです。
なぜ100Vはパワーが弱いのか?
TIG溶接は電気のパワーで金属を溶かします。
電力 = 電圧 × 電流
100Vでは電圧が低いため、電流(アンペア)を上げられません。
その結果、
- 溶け込みが浅い
- 溶接速度が遅い
機械が故障しているわけでもなく不良品でもなく、物理的な限界なのです。
それでも100V TIGが選ばれる理由はなぜなのか?
理由はシンプル
家庭用の小型溶接機を使い趣味でDIYされるほとんどの厚板を溶接しないからです。
実際にDIYや車の補修で使う金属の多くは1~2mmの薄板です。
この領域では100V TIGはむしろ扱いやすく、失敗しにくいのです。
ASAHIでは、日本の家庭用100Vで実際にテストして使える機種だけを販売しています。※TIGトーチは別売り
ステップ3 100Vで溶接できる板厚の目安は?
100Vでの実用範囲は1〜3mm、これが現場のリアルな答えです。
それ以上は、出来るけれど品質と安定性が落ちます。
鉄(軟鋼)の板厚目安
| 板厚 | 100V TIGでの実用性 |
| 0.8〜1.6mm | 非常に良好 |
| 2.0mm | 問題なく可能 |
| 2.3〜3.0mm | 条件付きで可能 |
| 4mm以上 | 非現実的 |
となります。
2〜3mmが100V TIGの上限ラインです。この範囲は家具フレーム・バイク部品・DIY金物に多く使われる厚みなので、家庭用途のDIYであれば十分活用できます。
ステンレスの板厚目安
| 板厚 | 実用性 |
| 0.8〜1.5mm | 非常に良好 |
| 2.0mm | 問題なく溶接可能 |
| 2.5mm | 条件付きで可能 |
| 3mm以上 | 非現実的 |
マフラー、キッチン部品、手すりなどはステンレスが多いです。
アルミは100V TIGでできるのか?
結論:ほぼ不可能です。
理由は3つあります。
- アルミは熱を奪う
- AC TIGが必要
- 高電流が必要
100Vではこの条件を満たせません。
アルミ溶接をしたい場合は
200VのAC/DC TIG機を選ぶ必要があります。
ASAHIの場合、TIG200P商品が対象となります。
また、板厚だけでなく「継ぎ方」も重要なポイントです。
同じ2mmでも、突合せ、重ね、角溶接で必要な電力は大きく変わります。
100Vでは、突合せ溶接が最も有利です。
重ね溶接をすると熱が逃げやすく、板厚限界が一気に下がります。
なぜ「100Vで3mmまで」が現実的なのか
メーカーは「最大4mm」「100V対応」と書きますが、それは理論値です。
実際にきれいな溶接をするなら100V TIGの現実的な上限は3mmこれが現場の答えです。
ASAHIではこの基準で商品をテストしています。
ステップ4 100V TIG溶接機に必要な電源環境
溶接は電気の力で金属を溶かします。100Vコンセントの最大出力は約1500W前後。
この電力では薄い金属は溶けるけど、厚い金属は熱が逃げて溶けないんです。これを無理に溶かそうとすると、電圧が落ち、ブレーカーが落ち、ビードが汚くなるといった問題が発生します。
100V TIGでブレーカーが落ちる原因
- 15A回路でフル出力を使う
- 延長コードが細すぎる・長い
- 他の家電と同時使用
対策
- 可能ならアンペア数をあげる
- 延長コードは2.0sq以上・5m以内
- エアコン・電子レンジと同時使用しない
「100VのTIG溶接機を使うとブレーカーが落ちる」
これは家庭用溶接で最も多いトラブルです。
溶接機本体の問題や不良品ではなく、電源環境が原因で起きています。
なぜ100V TIGは電源にシビアなのか?
TIG溶接はアークを発生させるため、瞬間的に大きな電流を流します。
家庭用100V15A(約1500W)・20A(約2000W)が限界です。
この限界に近づくと、電圧が下がる、アークが不安定になる、ブレーカーが落ちる。
という現象が起こります。
100V TIGに必要なブレーカー容量
理想は20A単独回路もしくは最低ラインの15Aの場合は他の家電と共有しない事がポイントです。
エアコン、電子レンジ、電気ポットと同時使用するとほぼ確実に落ちます。
延長コードで性能が激減する理由
延長コードは電圧を大きく落とします。
特にホームセンターの細いコードは要注意です。
太さ 10m使用時
1.25sq 使えない
1.5sq 不安定
2.0sq以上 安定
必ず2.0sq以上を使用してください。
タコ足配線は発熱・電圧低下・火災リスクの原因になるので辞めてください。
100V TIGは壁のコンセントから直接接続が基本です。
ブレーカーが落ちる人の典型例
- 15A回路
- 延長コードが細い・5m以上
- エアコンと同時に使用している
その場合、ほぼ確実に落ちます。
ブレーカーがお落ちて使えない!とASAHIに寄せられる相談の9割の原因がこちらになります。
ステップ5 TIG溶接はガス必須?ノンガスは使える?
「TIG溶接ってガスが必要なの?」
「ノンガスでTIG溶接できませんか?」
この質問は、100V TIG溶接機を検討している方から非常に多く寄せられます。
結論は、TIG溶接は必ずガスが必要です。
ノンガスTIGというものは存在しません。
ここを正しく理解していないと、間違った溶接機を買って失敗してしまいます。
なぜTIG溶接にはガスが必要なのか?
TIG溶接は、
- タングステン電極
- 溶かす金属
- 空気中の酸素
が同時に存在すると、溶接部が瞬時に酸化してしまいます。
酸化すると
- ビードが黒くなる
- 強度が落ちる
- ステンレスが腐食する
これを防ぐのが アルゴンガスです。
ガスが金属を覆い、空気を遮断することで、キレイで強い溶接ができます。
なぜノンガスTIGは存在しないのか?
ノンガス溶接は、フラックス入りワイヤーを使うMIG溶接の仕組みです。
ここの認識がTIGとMIGで混ざって覚えてしまっている方が多くいます。
TIGでは、溶加材・電極・アークがすべて露出しているため、ガスがなければ溶接が成立しません。
つまり、
ノンガス = MIG
ガス必須 = TIG
「TIG対応・ノンガス」と書いてある商品に注意
商品説明欄に「TIG対応・ノンガス」と表記されている溶接機あります。
ここで、TIGもノンガスで溶接出来るもの。
という誤った認識をしてしまう事があります。
正確には、その機械はTIGモードとノンガスMIGモードの両方があるという意味です。
TIGでノンガスができるわけではありません。
なぜTIGはガスを使うのに選ばれるのでしょうか?
- ステンレスが非常にキレイ
- 薄板が溶け落ちない
- ビードが美しい
- 精密な作業ができる
特にバイクのマフラー、家具、厨房機器などではTIGでなければ仕上がりが出ません。
ガスが面倒な人はどうすればいい?
- ガスを用意したくない
- 多少汚くてもいい
なら、ノンガスMIG溶接機の方が向いています。
100V TIGで使うガスは?
100V TIGでも200Vでも、使うガスは同じです。
- アルゴン100%
- 流量:6〜10L/min
市販のアルゴンボンベで問題ありません。
一般用途向けにレンタルしている会社もあり、500リットル、1500リットルを1ヶ月単位で借りる事も出来ます。
TIG溶接はガスがあるからこそ美しく、強い溶接ができる方法です。
ノンガスでやりたい場合はTIGではなくMIGを選びます。
この違いを正しく理解すれば、溶接機選びで失敗することはありません。
どれを選んで良いかわからない、こういった状況ではどうやって使えばいいの、悩まれたお客様はまずはお問い合わせください。
私たちプロがどのような製品が最適かご提案させて頂きます。